tabibito9tabitoのブログ

旅人のタビトによるエッセイ

旅の途中

長い旅に出ています。


歓迎されても、
受け容れられても、

やはり所属感は無く、


旅人であるとしか実感はありません。




何処へ向かうのかも、
何を求めるのかも、

わからないまま。





きっと終わりは無いだろう。


旅の途中で終わるのだろう。


旅人のままで終わるのだろう。



その事だけは、
よく知っているのです。

1口ちょうだい

他人と食べ物をシェアするのが嫌だ。
ましてや
「1口ちょうだい」なんてあり得ない、

と言う人達がいる。


その理由としてよく挙げられるのは
『ペース配分が台無しになる』だ。

例えば
唐揚げが5つとご飯を食べるなら、
それなりに段取りに従って食べようとするのに、
それが邪魔されてしまう、

というのだ。


私も
出来る限りお行儀良く食べたいし、
ご飯ばかり食べて
みっともなく唐揚げが残るような事も
避けようとはする。



ただ
それよりも

『何かを他人と共有したい』

という欲求の方が大きいから

「自分の皿の物でも食べてみたかったらどうぞ」
という気持の方が常に勝つ。

それが例えどんなに好物であっても、
珍しく高価な物であっても、
否その方がより一層

『分かち合う幸せ』

が勝ってしまう。



もちろん
毎日が食うや食わずやの生活をせずに
済んできたことも、

食べ物の恨みを保たずに
生きて来られたことも

大きいには違いないが。



もし仮に、
皆と分け合って
唐揚げが手元に1つ2つしか残らなかった
としても、

これからが腕の見せ所だ

とさえ思い意気込む方だ。

ここから如何に美味しく美しく食事しようか

と。


それを私は楽しんでさえいると思う。


そもそも、
私は何でも前々から用意して、
突発的な不自由に苦労しないように

『石橋を叩いて、
叩いて、
ともすれば
自ら叩き割らないよう
気を付けなければならない程の
心配性』

だから、

事前の準備や
ペースを守ることには
敏感な方だ。


だからこそ
自分1人だと、
常に予定調和になってしまって

ツマラナイ。

何の刺激も無いし、
淡々と繰り返される日常から
逃れられもしないし、
力を発揮する機会も無ければ
実感も無い。


例えそれが
『1口ちょうだい』という
他愛も無い出来事であっても、
それは
私に
予想しなかった

未来

をもたらしてくれる
大きな意味を持つ出来事にも
なり得るのだ。

それくらいの事で??

「イジメくらいで自殺?」


とか
疑問に思うけど、


破綻した家庭で育つと

『家に居なくて済む時間だけは幸せ』って
生き方で、

『外でダメでも安心できる居所が有る』
訳ではなくて。

『崖の上を歩く毎日の
本の小さな平地が
取り除かれる』と
感じ続けてて。

そう思えば、
イジメで無くても


小さな出来事


が、
たちまち
生き死にに関わってくるのが、


ちょっと理解できてしまう。

喉元過ぎれば


この所、
以前から気に入って便利使いしていた飲食店で、
イヤな目に遭うことが多い。

明らかにトレーニング不足の新しいスタッフは、
心さえ有れば
こちらも多少のミスやなんかは
我慢する程ですらない。


が、
何度か見かけたことのある人が
オーダーを通し忘れて
一時間以上経って尋ねて
ようやく明らかになったり。



外国語の客が
パンを素手で触って
それをまた商品棚に戻したので
伝えたら

「あー、中国人?よく有るんですよねぇ」

で済まされたり……



かと思えば、

明らかに外国語訛りの
名札も異国風の名前の人が、
本当に気持ちの良い応対をしてくれたり。




日本の
バブル崩壊以降の
一度も良いサービスというものを
経験したことの無いまま
サービス・接客業に就く人が増えたことが
原因なんて言われるけれど、

気味悪いくらいの
『横並び』
が問題なのでないかと思う。





ファーストフード・
フードコート・
激安店などでは

『安全で
清潔な商品が
正しく提供されさえすれば良い』

せいぜい
ニッコリ笑って
コンニチハくらい言ってもらえれば
良いではないか。


それ以上のサービスを求めるなら、
それなりの店に行けば良い。




それが、
ランチで数千円するような店に行っても
イイカゲンなサーブや
不遜な態度に出られれば
腹も立つ。

帰りがけに、
何故こんな横柄な態度で不快な思いまでして、
結構な値段支払って、
頭を下げて食わせて貰ったような気持に
ならねばならんのか、
とさえ腹の立つことも。



「私どもにはこんな素晴らしい店で働くだけの
特権がございますゆえ」

とでも言わんばかり。



しかも、
この所のインバウンド需要や
『映え』なんてお陰の観光客増加で、
一時は不況故に絶滅したかにも見えた、
『所詮一見お上りさん相手の商売』
とでも言うような
ボッタクリ紛いの店まで
またもや復活してきた。




意味不明にお高くとまった商売が臭いだして
ダメになった筈の街が、
喉元の熱さは忘れたとみえる。

大規模チェーンの飲食店では、

大規模チェーンの飲食店では、
販売期限の切れた食べ物を
ゴミとして出す時、
洗剤を掛けておく事がそうだ。

一度廃棄した物を
食べられないようにする為。



それを知った時、

「食べるに困って他人様の捨てた物を
ゴミ箱から拾ってまで命を繋ごうとしている人に、
そこまでしなくても」

と正直思った。



しかし
コレはそんな単純な話でも無いようで、

買わずに拾って食べた物に
『当たった』だの
『不良品だった』だのの
クレームがくるのだそうな。


その対策として済されている行為らしい。


そらそうだ。
ゴミを漁ってまで命を繋いでまでいるような人に、
そんな意味不明な
クレームにさく時間など無いだろう。

結局は
『クレーム目的で手に入れた人』が
問題起こすのだろう。



そして、

本当に困った人達は、


さらに困った状況に追いやられるのか……

昭和だったんだと思う


受験に失敗しても
挫折感や
恥を感じずに
紛れ込んで
さり気なく就職できて、

金が無くて進学しても
バイトすれば何とか払える額の学費で、

万人に仕事が与えられ、

数年働けば
結婚資金や
当面の生活くらいやっていけ、

配偶者と
親と
数人の子供くらいなら養えて、

子供を大学まで進学させれて、

塾や
習い事程度なら行かせてやれて、

普通にしていれば定年まで働けて、

上手くやれば
一戸建てのマイホームが買えて、

親の年金を当てにしなくても
面倒くらい看てやれて、

介護用リフォームくらいしてやれて、

医療費どころか
上手くいけば施設くらいいれてやれて、

子供の結婚祝に家財道具や
車くらい買ってやれて、

親の葬儀くらいあげてやれて、

孫を甘やかす程度の金くらい自由になって、

自分達の葬儀費くらい払っても
まだ幾らか残してやれて、


そういうものが昭和だったんだと思う。

北野武とボブディラン


『その男、凶暴につき』



は単に

「ビートたけしが監督になった」

の物珍しさで観た。



面白かった。



とても

「洗練された映画とは言えない」

と思ったし、



「下手したら


映画ではないかも」


とも思った。




でも
それが


「映画に届いていない」


だけなのか、

もしかしたら



「映画の向こう、

新しい時代の可能性はないのか」

と、



あの頃生意気で、
知ったかぶって、
自信満々だった自分は思っていた。







『あの夏、いちばん静かな海。』


は正直、

久石譲目当てだった。




それでも
やっぱり



「ほらみたことか!」



と思った。



変身したぞ!





「ナニ聞いてるんだ」
「PPM」
「ダッセー反戦フォークかよ」
「ボブディランが良いんだ、歌詞が良いんだ」
「でも、古臭い反戦フォークだろ」


映画同好会員の友人と話していた。

その後、好きな監督を問われて


「北野武」


と答えたら、


「あんなもんは、映画じゃないよ。
所詮、


売れてる芸人が
金に物言わせて撮った学芸会だよ。


北野武なんて笑わせるぜ、
ビートたけしと呼べよ」



と笑われた。





それでも、


「自分は好き。

今はお遊びでも、きっと世界の北野武になるんだ。


音楽だって好きだし、


急に今作からの


ものすごく
キレイで
切ないくらいの
青い
海の
描写が、


つらくてならないんだ」



って必死に語って、

鼻で笑い飛ばされた。




「大人やツウが馬鹿にしたって、
きっと時代が来るものだってあるんだ。


PPMだって、

古臭い反戦フォークって笑ったけど、

きっと再評価される。


ボブディランが心に染みいって血に成る頃には、

世界が追いつくんだ」



って、



その時必死に弁護した2人が、


金獅子賞を獲った時も、



その後時間は掛かったけど



ノーベル賞を獲った時も、



多分、自分は


世界で一番喜んだ人間の1人

に数えて貰える筈だと信じてる。



それでも


追い掛けていって

「ほら!みたことか!」

と言わなかったのは、



『ソナチネ』で
「たけしの後ろに立ってるだけの
アノ役者さんは誰」

って聞いた自分に、


「あれは、
面白い経歴の役者らしいよ。

ポルノにも出て・
アングラ劇団で・
無言劇をやるらしい」


と教えてくれたのはその友人だったからだ。


あの後、

ちゃんとソナチネまで観て、

俳優まで調べていたんだ……



その時は自分には


ソノ俳優の名前も


覚えられなかったし、




アングラ無言劇ポルノ



と聞いて、





子供の頃テレビで恐れ戦いた、



白塗りのフンドシダンサー




しかイメージできなかったから。